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おしらせ

2010年06月26日御所浦の化石No.02 「ゴショライア クレニュラータ」

御所浦で産出される化石を紹介します。
No.02は「ゴショライア クレニュラータ」
御所浦にちなんだ学名がついている貝化石です。

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「ゴショライア クレニュラータ」は、学名では
Goshoraia crenulata(MSTSUMOTO)
(ゴショライア属 クレニュラータ種 命名者松本)

「ゴショライア 」と、御所浦にちなんだ名がついているのは過去に熊本県特産の化石とされ,御所浦に多く見られたからなのですが、現在では日本中の白亜紀中期の地層から産出することが知られ、ゴショライア属は3種が確認されています。
ゴショライア属は現生のハマグリなどが含まれるマルスダレガイ科の仲間。マルスダレガイ科は現在の二枚貝最大の科で、500から800の種が属していると言われています。前回の「プテロトリゴニア オガワイ」で紹介した、トリゴニア(サンカクガイ科)の仲間が現在7種となってしまったこととは対照的です。

種名の「クレニュラータ」は、訳すと「小円鋸歯状」。ようは「ギザギザ」といったような意味で、ゴショライアクレニュラータを日本語にしたなら「御所浦のギザギザ」とでも言ったところでしょうか。この御所浦ギザギザくんのいったいどこがギザギザなのかというと、それは貝殻のフチの部分。貝殻のフチは腹縁と呼ばれるのですが、腹縁のギザギザ間隔が狭いのが御所浦ギザギザくんの特徴です(写真a)。
また、蝶番部(殻頂)の手前がきゅっとくびれているのも特徴的(写真b)。
御所浦ではゴショライア クレニュラータは大きい個体で5 cmくらいのものもあるそうですが、3~4cmのものが多いようです(写真c)。一方、稚貝なのか、小さな個体も見うけられます(写真d:奥に見えるのは写真aの化石)。

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ゴショライア クレニュラータはプテロトリゴニア オガワイと同じく、「トリゴニア砂岩化石採集場」からはたくさん出ます。トリゴニア化石採集場で、アサリやハマグリっぽい二枚貝化石を見つけたら大体ゴショライアのことが多いのですが、実は違った!なんてこともあるので、やはり最後は白亜紀資料館の学芸員さんを頼りましょう(笑)。

文責:御所浦.net

写真解説
【写真a,b,c】
この写真のゴショライア化石は、貝殻の内側の型が残ったもので、貝殻本体の化石ではありません。こういった、古生物の本体ではなく、岩石に押し付けられた型が化石となったものを「印象化石」と言います。
【写真d】
一方、小さい方のゴショライア化石には貝殻の表面の模様が確認できることからも分かるように、貝殻本体が化石となって残っています。このような本体の残った化石を「遺体化石」もしくは「体化石」といいます。

今回名前の登場した貝類
「ゴショライア クレニュラータ」
学名:Veneridae Pitarinae Goshoraia crenulata(MSTSUMOTO)
和名:マルスダレガイ科 ユウカゲハマグリ亜科 ゴショライア属 クレニュラータ種 命名者松本

「ハマグリ」
学名: Veneridae Meretricinae Meretrix lusoria (Roding, 1798)
和名:マルスダレガイ科 ハマグリ亜科 ハマグリ属 ハマグリ種 命名者Roding 1798年

「プテロトリゴニア オガワイ」
学名:Trigoniaceae Pterotrigoniinae Pterotorigonia(Ptilotrigonia)ogawai(YEHARA)
和名:サンカクガイ科 プテロトリゴニア亜科 プテロトリゴニア属 プチロトリゴニア亜属 オガワイ種 命名者江原